介護で使用される「ADL」とは何か?

ADLとは?


ADLは、日常生活動作とも言います。

この日常生活動作は、起きたり、立ち上がったり、歩いたり、食事や用をたすなど、日常生活で行われる動作を指しています。

介護現場では、「この利用者はADLが低下している」という風に介護職員が状態を評価することがあります。

「公的な介護」の世界では、利用者の状態を事前にチェックし、それに基づいたケアプランが作成され、医師や看護師などの医療ケアと介護職員による介護ケアが並行に行われます。

もしも、利用者のADLが低下していれば、作成されたケアプランを実行することが困難になるでしょう。また、ADLが改善していれば、介護支援を軽減させることも検討できます。

つまり、ADLを把握することが、介護支援のベースとなっているのです。

そこで、頻繁にADLが維持されているのか、増減はないのか、普段の暮らしぶりを見ながら介護職員も常に観察します。

例えばトイレを使う場面では


ある利用者がトイレを使うシーンを想像してみましょう。

その際、便意や尿意があるのか確認することが大切です。YESかNOかで判断できるものではなく、日中は比較的認識しているという判断もできるでしょう。

また、 今いる場所からトイレの場所を認識して移動することができるかもポイントです。

ひとりで立ち上がることができるのか、歩くことができるのか。さらに、トイレの使い方や衣類の着脱に問題がないかも確認事項となります。

健康的な人であれば、何気なく行っている行動や判断のどこができて、どこができないのかを確認しなければ、正確な支援方法はみつかりません。

その意味では、何ができてできないのかを明確に示すことが効率的で負担の少ない介護支援につながります。

実際、今いる場所からトイレまで行き、そこでトイレを使えないと、誰のサポートが必要になります。

介護の現場では、個々の利用者に応じたADLを把握し、介護職員同士の小まめな連携を取らなければ、行き届いた介護にはなりません。

座位、立位、独歩がキーワード


座位とは、そこに座るということです。

なんだそんなことと思われるかも知れませんが、他人の支えなくしてひとりで座れることがADLでは重要です。

なぜなら、座位が取れる人は、便座や車イスを使用できます。それだけでも、生活の幅が広がります。

さらに、ひとりで立つことができれば、ベッドから車イスへの移乗もサポートがあればできるでしょう。

そして、独歩までできれば、自分の意思である程度の範囲を行き来することができます。

フラットな床にすれば、料理や掃除もできるかも知れません。

それだけでも、ライフスタイルが充実します。

介護施設に入所した利用者を観察する際も、この3点を確認するようにしています。

ひとりで座れるのか、立てるのか、歩けるのか、これらを踏まえることで支援方法もある程度分かるからです。

さらにIADLという言葉もある


ADLの頭に「I」が付いた「IADL」も介護では耳にします。これは、「手段的日常動作」とも言われていて、ADLに比べてもう少し日常生活に則した動作を指します。

例えば料理を作ることや、金銭管理をしながら買い物をすることなど、ADLに比べて複合的な行為が該当します。

現実問題として、ADLだけでは利用者が単独で生活することが難しく、どうしてもIADLがどのくらい可能なのかを確認することが重要なります。

いずれにしても、介護を考える時に、さまざまな角度から観察し支援しなければいけません。