昭和と平成、令和
昭和の後半、そして平成に変わった頃、ワードやエクセルを使えることがホワイトカラーのステイタスになっていました。
こみちの場合、パソコンでデザインの仕事をしていたので、Photoshopや Illustratorが使いこなれることが必須でしたし、それぞれのアプリがバージョンアップするとその解説本を買って勉強することも当たり前でした。
絵を描くことは学生時代からのことで、通勤中の電車での移動中、仕事で考える図案やデザインを小さなスケッチブックにペンで描いたりしたこともあります。
でも、誰もがスマホを持っていて、そのスマホでAIがデザインも作曲もしてくれるわけですから、当時の当たり前など昔話です。
一方、誰もが投資をするような時代になり、会社の利益がそこで働く従業員に還元されると同時に、株主への配当にも回されるようになったとも言えます。
それはつまり、与えられた仕事を全うすることで、昇進し、給料アップすると言う時代ではなくなりつつあるのかもしれません。
報酬や利益は、提供した価値の上乗せ分。
でも昔よりもその割合が変化し、頑張れば頑張っただけ還元されるのもではなく、利益の配分が報酬の他に、株主にも流れています。
もちろん、それは急に始まったことではなくて、昔からあったはずです。
ただポイントは、利益の恩恵を受けるには、その会社の従業員であるだけではなく、株主でもいいとなったことです。
日本は長く物価上昇に対して、賃金が追いついていないと言われていますが、会社が利益を還元する方法が変わったとも言えます。
例えば、海外に在住していても、投資資金があれば、国内の会社から利益の恩恵が受けられるようになった一方で、国内で働く労働者は十分な報酬を受け難くなったとも考えられるでしょう。
もしもそうだとするなら、従来のように会社で幅広い経験を積み、出世して責任あるポストに就き、その対価として報酬を得ると言う昭和の頃なら当たり前だった話も過去になったのかもしれません。
名の通った大学に入り、そのブランドを使って一流の会社に就職することが成功のセオリーだったとすると、時代背景が変化したことで、より結果が求められるようになったのでしょう。
つまり、医学部を出たら医者として活躍して、しっかり報酬を得ると言うことが仕組み的に難しくなれば、医学の知識を専門性として、どう活かせるかまで考えて従業員として稼ぐとは別のルートで収益を上げる工夫が求められます。
それは異業種にも言えて、専門スキルを見つければ将来も活躍できる時代が昭和だったとするなら、平成、令和に時代が変化して「専門性」の先が求められます。
例えば介護業界
高齢者の生活を支援する介護事業は、実際に働いて人の温かさを感じられる素晴らしい仕事です。
こみちもそんな高齢者との触れ合いが好きでしたし、その方々との会話でそれまで学ぶことができなかった経験もたくさんさせてもらいました。
それらは「おじいちゃん」とか「おばあちゃん」と言う縁側でほのぼのしたやり取りだけではなく、70代、80代、90代と自身も同じ道を辿った時に人生をどう振り返ることになるのかを教えてくれます。
今、とても大切にしていることが、後々には全く価値がなくなるものもあれば、今は無価値に見えることでも、その後は人生を豊かにしてくれるものもあります。
特に、老いてからではやり直せないので、ずっと後悔して生きるのか、楽しく毎日を過ごせるのかは大きな差になるでしょう。
とは言え、介護士の報酬は異業種と比較しても、高待遇とは言えません。
その原因の一つが、効率化に向いていない事業ということもあるでしょう。
手間を省くと、提供されるサービスも低下しやすい。
なぜなら、左にある物を右に移動させることが仕事ではなく、移動させることに意味があるからです。
全ての作業がそうだとは言いませんが、手際よく熟すことだけでは満たされない部分が多く、でもそれをすると施設経営の利益を圧迫します。
結果的に、やり甲斐と報酬が結びつかない関係になりやすいのが介護事業だと思います。
仕事探しをする中で、介護業界に再就職も検討していましたが、待遇面で満たされていても、施設の評判を調べるともう一歩踏み出すことを躊躇う情報もあったりします。
また、紹介派遣の場合、高額時給を掲げていても、すぐに勤務先の施設との契約に切り替わり、就活を決めた理由が早々と奪われることもあります。
介護報酬を得て運営される介護事業だけに、相場を大きく上回る報酬は出せません。
つまり、介護の仕事で報酬を決め手にはできないとも言えます。
異業種の方が高額なことも多いですし、稼ぎというだけなら必ずしも介護業界がおすすめではないからです。
しかし、昭和からの変化を考えると、従来の考え方では仕事で安定した報酬を得るのは段々と厳しくなるので、稼ぐ方法をどう見つけられるかがやはり克服しなければいけない課題です。
お金でお金を稼ぐ時代になったと言えば分かりやすいでしょうか。
こみちチャンネルの運営
こみち、youtube でこみちチャンネルを運営しています。
絵を描いて、その制作過程を紹介するだけのチャンネルです。
高い反響が得られているとも言えませんが、活動を続けているのには理由があって、「絵を描く」楽さを活かせないかと思っているからです。
歌を歌うことや楽器を演奏することにも似ていますが、できたから何か意味があるということではなくて、でもできることで自身を発見したり、見え方や感じ方が変われば、その後の人生も変わって来ると思うんです。
例えば、旅先で素敵な景色に出会った時に、スマホでパシャリと撮影しても十分ですが、スケッチブックにささっと描いてみる。
意外とその時の気持ちって、スケッチブックを見返したりすると、鮮明に思い出せたりします。
向き合った時間だけ、思いを通わせただけ、そのことが違いなのかもしれませんが、一瞬で撮影した一枚よりも明らかに記憶に残ります。
つまり、「描くこと」は上手いか下手かにどうしても目が行きますが、そこが大切なのではなくて、描こうと思う中にある幸せが老いてからも大切な思い出になるということ。
その流れがあって、上手く描けることはよりピンポイントで残したい気持ちまで残せるようになるということのように思います。
今はまだそこまでの想いを運営するチャンネルで発揮できていませんが、そこまでお伝えできるようになれば、それは仕事として誰かに何かの価値を提供することにもなると思います。
それは、時代の変化を感じるからこその試みでもあって、会社で仕事をすることだけでは十分ではなくなる時代だからこそ、自分にできることを形にしていくチャレンジが求められるように感じます。