在宅介護に疲れて
介護で疲弊する要因は、自身の精神を極限まで追い込むからです。
右にある物を左に移動させる。
例えばそれなら、異業種の作業と変わりません。
ですが、右なのか左なのか。移動させるのかさせないのか。
介護では時に同じことを何度も繰り返すことがあります。
「洗濯するよ。洗うものは無い?」
いざ始めて、すすぎになって「洗濯ものがあった」と言われれば、もう終わりそうな気持ちも萎えてしまいます。
残った仕事も直ぐに片付ける必要はないかもしれませんが、「やり残し」というストレスがいろんな場面で少しずつ増えていきます。
「終わった?」
もう随分と時間が経過して、そろそろ終わった頃だろうと声を掛けても、実はまだ全く手付かずで、後からでもできることを先にしていたりするのです。
「アレ? しないの?」
「こっちが気になったから」
気持ちはわかりますが、今しかできないことから始めないと、効率よくことが進みません。
そして、「間に合わない」と不満を口にされて、本当なら正論を言いたいところですが、今更それは言っても意味がなくて、「じゃあ、今からしよう」という話になるのです。
これは在宅介護での話ですが、介護施設でも同じことが言えます。
施設の方針にも大きく言えば2種類あって、ギリギリの人員で必要な作業を行うスタイルで、利用者の介護費用をできるだけ安価にできて家族への負担を減らせます。
もう一つが適切な人員を配置してそれだけ介護費用が嵩みますが、親身になったケアが期待できるというスタイルです。
とは言え、いずれにしても、スタッフの介護スキルが育っていないければ、どちらの介護も十分にはできません。
ですが、久しぶりに介護職の求人を探していて、月給が20万円に届かない職場がたくさんあります。
もちろん夜勤を数回こなせば、20万円を超えるのですが、夕方に出勤してそこから一晩過ごして朝までの勤務は責任もあって精神的肉体的に楽ではありません。
シフト勤務の場合、夜勤をして翌日まで休みというパターンが多かったのですが、夜勤明けで帰宅すると昼前でそこから横になって夕方まで動きたくありません。
かと言って睡眠をしっかりと摂り過ぎても、翌日の休みの後は朝から仕事というパターンが多いので、休日の1日を使って時差ボケを解消しなければいけません。
なので、日勤帯のみとか夜勤専従のような働き方の方が、体を考えると楽だったりします。
でも日勤帯だけではどうしても稼げません。
夜勤専従になれば、日勤帯よりも稼げますが、昼夜が逆転した生活です。
しかも、苦労の割にそうもらえる訳でもない。
やり甲斐も利用者との触れ合いにも良さはありますが、楽に稼げる業種ではないので、実際の求人募集を見ていていろいろと思い出しました。
仕事を選んでいたら、いつまで決めることができないのもわかっていますが、今はまだ施設介護のスタッフに戻る決心ができません。
作業として考えれば、異業種と何が違うのかとも言えますが、人の世話として考えると手間こそが介護でもあります。
かと言って、それは自分の精神や肉体を追い込むことにもつながるので、給与とのバランスが見合っているとは思えません。
それこそ専門職として評価されるなら、人材育成も医療職に近い報酬も期待できますが、無資格でも応募できる間口の広さが介護業界の良さでもあって、それ故に経験を適切に評価することが難しくなってしまうのでしょう。