中高年の老化 「日々感じる老い」との戦いと諦め

 こみち家の場合

父親が一日中テレビを観ていることに変わりありません。

「魚、味がないから醤油掛けた方がいい」

時間の都合上、家族全員が食事をすることも減り、都合のいい人から食べ始める。

朝はゆっくりの父親で、起きるのは7時。

でも、「5時には起きている」と、家族を思って遅く顔を出すようにしているらしい。

こみちは5時起きで朝食を作る。

妻からは「焦がしたの?」と起きて食卓を見た時に聞かれた。

誰か作るのかは決まっていない。

しかし、仕事が1つなくなって時間ができたらこみちが、家事をすることになってしまう。

特に朝食に関しては、365日、欠かすことができない。

母親が起きてくるのは、6時半。

最初は心配して早く顔を出していたが、今では段々とゆっくりになり、この時間になった。

それぞれがそれぞれにできることをしているのは変わりない。

ただ、問題点が解決しているという印象は少ない。

そして、こみち自身も段々と老いて来たし、今の生活をしばらく維持できたとしても、両親にもっと介護が必要になったら、生活は困窮するだろう。

その備えも十分ではないし、備える様子も見えない両親を見ているとイライラするし言葉もキツくなってしまう。

妻とも平穏が訪れたと言っても、順調だということではないし、ただ生活を継続していることに変わりはない。

早朝、気持ちがとても落ち着かなくて、自身の未来が不安になってしまった。

でもそれを誰に打ち明けることもできないし、仮に両親に告げたとしてももう助ける力は残っていない。

どこの家庭でも同じようなことだと思うが、こみち家の未来は暗い。