現役介護士からの提案「自律神経に興味を持ってみては?」

こみちの場合

仕事場では、血管性認知症の利用者や、その他さまざまな症状を抱える利用者と向き合いながら、介護業務に携わっています。

介護士と言う立場で言えば、病状による介護の難易度は軽視できませんが、大きな問題ではありません。

つまり、ある脳血管の障害から認知行動が目立ち、家族の手に追えなくなった利用者は、その方の居室を覗くだけでも飛び出して来て「勝手に覗かないで!!」と激しい剣幕で怒鳴ります。

その態度に驚き、介護士の中にはできるだけ関わらないスタンスを貫く人もいて、その意味ではこみちのように関わり続ける方が珍しいのかもしれません。

なぜ、人は他人を理解しようとしないのでしょうか。

その理由は、意外とシンプルで、感覚的には「他人の目線や立場になれること」はかなり高度なスキルだからです。

別の例えを持ち出すなら、目の前の課題に直面した時に、解決策を考えるということが王道だとするなら、これを試みる人は至って正常で真面目な人です。

もっと言えば、セオリーを理解して、集めた情報の中から定番やオーソドックスな方法を見つけ出し、それを実行することでこれまでも困難を乗り越えて来たのでしょう。

中には、課題が与えられた時に、解決策を考えるのではなく、課題が無かったようにできないかと知恵をしぼる人もいます。

例えば、「忙しくて時間がない」とか、「まだ直接的にかせられていない」とか、どうにか課題解決を無効化しようと試みるのです。

多分、これら2つのパターンに該当する人は、日本国民の8割とか9割くらいになるのではないでしょうか。

それくらい、多少の違いはあったとしても、考え方としては種類が多くないことが分かるはずです。

介護士という仕事を経験したことで、今のこみちは、「どうすれば意図を理解してもらえるか?」を考えます。

それはつまり、相手の理解度や立場、経験則を読み取り、時には目標設定のラインを下げることになってもやむを得ないと思います。

例えば、脳血管の障害による認知症を医学的に理解すれば、彼らはその症状から我々健常者が与えられた情報量や視野角ではないので、思わぬ行動に出ることがあります。

それは、東大の合格者が、不合格者に対して、「どうしてその問題を間違えてしまうのだろうか?」と思ってしまうのに似ています。

つまり、できる人には当たり前でも、できない人にとっては抜けてしまったり、間違えた判断をしてしまうのは不思議なことではなく、成長過程では当然だったりします。

だからこそ、いい意味で成長できる人は、「謙虚」なのでしょう。

自分を立派に思ってしまうと、聞くことも頭を下げることもできなくなります。

これは最近経験したことですが、こみちと同じ中高年の男性が、電車の座席に十分な空きがなくて、座れずにモジモジとしていました。

「すいません。少し詰めてもらえませんか?」

そう言うのは恥ずかしいかもしれません。

しかし、スマートに座りたいなら、恥をしのんでも言う方が正解です。

ところが、最近経験したのは、無理矢理狭い隙間にお尻を割り込ませた上で、席を譲ろうとしてくれない乗客たちに不満顔を露わにしました。

「正しいから正解」と言う解釈は、ある意味で成熟した社会で成り立ちます。

しかし、未成熟になると正しくても注意喚起しなければ思わぬトラブルになることがあります。

それは、受け取り方が想像とは異なるからです。

「どうするのが正しい」ではなく、「正しく伝える」と言う努力がとても大切だということに着目するべきだったのです。

と言うのも、介護の仕事で最も難しいのは、介助ではないからです。

我々介護士の多くが思うこととは異なる主義主張を持つ利用者に出会った時に、反発され、拒絶され、成すこと全てを否定され、「正しい」とは何かを考えるからでしょう。

実際、介護現場で、こみちは数々の経験をし、時に感動し、時に落胆しながら、介護士として成長しました。

と言うのも、実務者研修を終えると、多くの学生は「自立支援」が大切だと知ります。

しかし、こみちも当時は同じ気持ちでしたが、「自立支援とは何か?」は介護を仕事としてみないと分からないことも多いはずです。

自身の身体が一つしかなく、限られた時間の中で行う介護と言う限界のある前提で、「自立支援」を実現させることがどれだけ難しいことなのか気付かされるでしょう。

一つには、そもそも介護士には自立支援を実現させる役割を主体的には与えられていないとも言えます。

それはつまり、限られた時間や環境では行うことが不可能で、介護士は与えられた業務をひたすら全うさせることに尽きるのではないかと感じるからです。

その意味では、権限や役割を担いたいなら、看護師や社会福祉士、理学療法士などの資格を目指すべきだと感じます。

また、ケアマネを飛び越えて、施設長を目指すのでもないと、それぞれに価値観を持った大人を支えることは簡単ではないからです。

自律神経とは何か?

簡単に言ってしまえば、自己の意思ではコントロールできない神経領域を指します。

「どうも体調が優れない」というような感覚も、ある意味では「自律神経」と深く関わっているのかもしれません。

ポイントは、自己ではコントロールできない神経領域だとしても、コントロール可能な領域を正常に保つことで、その先の神経領域を間接的に操ることはできるはずです。

具体的には、ストレス障害を感じた時には、ストレスを溜めない方法に意識を向けるのではなく、適度に解消する方法を意識できれば、過度に溜め込まないで済むかもしれません。

さらに、趣味を持つという方法の他、ぼんやりする時間や仮眠する習慣もストレスを継続的に溜め込まない工夫に繋がります。

なぜ、自律神経に関心を持ったのかというと、頭で理解していても対人関係を扱う仕事は知らずにストレスが蓄積されて、自身では気づかない間に過度なストレス障害から精神疾患に移行しないとも限りません。

頭では理解していることでも、脳が疲れてくると精神へのストレスやダメージに直結することを経験し、それが理由で自律神経への関心を持つようになりました。

いずれ、購入した書籍についても紹介できたらと思います。