第34回介護福祉士国家試験対策 「医療的ケア」を勉強する パート3

 保健医療に関する制度を掘り下げてみる!

医療が、単なる治療ではなく、患者の心身状況に基づいたもので、疾病の予防やリハビリまでも含んだ良質で適切なものでなければいけません。

医療法には、「国および地方公共団体は、この医療提供の理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない」とされます。

これは、憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という主旨にも合致します。

我が国では、1961年の「国民皆保険制度」が導入され、すべての国民が適切な医療を利用できる状況になっています。

2008年には「老人保健法」が「高齢者の医療の確保に関する法律」に改正され、将来にわたり持続可能な医療支援が受けられる制度になりました。

介護保険制度における保険者とは、市区町村および特別区とされます。

加齢により生じた疾患や要支援、要介護により、生活上のサポートが必要な時に適切なサービスが受けられるものです。

この介護保険制度には、介護給付、予防給付の他に市町村が条例に基づき定めることができる市町村特別給付もあります。

65歳以上の第1号被保険者の他、65歳未満40歳以上の第2被保険者は特定の16疾病により支援が必要となった場合に適用されます。

障害者総合支援制度も大切です。

2012年に改正され障害者総合支援法が誕生しました。

対象とされるのは、障害者だけでなく障害児も含まれます。

保健制度については、1994年に「地域保健法」が施行され、地域住民の健康保持、増進に推進する役割を担います。

具体的には、都道府県、政令指定都市が設置する「保健所」、市町村は「市町村保健センター」を設置できます。

医療行為とは何か?

「医行為」とは、医師法17条に「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めています。

ここで、「医業」とは何かを考えなければいけません。

そこで、「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生じるおそれがある行為」と考えられていて、「喀痰吸引」や「経管栄養」も医行為に含まれる行為といえます。

しかし、医行為を原則として医師の独占行為とするものの、一定の教育を受けた有資格者に「特定の医行為」を分担させ、医師の指示あるいは指導監督の下、医師以外の医療スタッフが行うことを認められました。

このを受けて、介護福祉士等は、2016年から一定の研修を修了し、医師の指示の下に喀痰吸引と経管栄養を行えることになったのです。

その際、療養環境の有無、患者の適切な医学的管理、家族以外の者に対する教育、患者の文書による同意、医師および看護職員との連携による適正な喀痰吸引、緊急時の連絡・支援体制の確保の6項目が満たされた場合に限るとされました。

2011年の社会福祉士及び介護福祉士法が改正されて、一定の研修を修了することで、2016年からは喀痰吸引と経管栄養が正式に法定化されたのです。