第34回介護福祉士国家試験対策 「人間の尊厳と自立」を勉強する パート2

 人間の尊厳の保持と自立・自律

「人間の尊厳と自立」は、介護職として心得るべき「介護とは?」の根底となるべき知識が詰まっています。

特に高齢者介護、障がい者介護で問われるのは、「その人らしい暮らし」をどう理解するのかでしょう。

そこに至るまでの知識や思考をここでは学びます。

個人の尊厳と憲法

誤解を恐れずに紹介するなら、憲法とは国民が国や国を動かす立場にある者に対して求める「要望」が詰まっています。

ニュースなどで「国は〇〇と決定しました」というような報道がありますが、それだって原則的には国を託した国民があってのことなのです。

そこで、憲法ではどのように個人の尊厳が扱われているのかを確認しておきましょう。

日本国憲法第13条は、「幸福追求権」について記されていて、具体的には国民が生命、自由及び幸福追求を保つことを示しています。

これにより、国からの指示や命令で、命や自由、幸福追求を一方的に奪われることができなくなったとも言えます。

ただし、「幸福追求権」と言っても、幸福の定義やその実現に対する方法は人によって様々ですから、全てが認められるとはなりません。

介護の世界でも「幸福追求」の要求があると言えますが、それをどのように実現するのかが課題でもあります。

憲法にはもう一つ大切な条文があって、それが25条の生存権です。

この生存権が示す内容は、この国内の社会で生存=生きることを示すものです。

もちろん、生きるとは何かの議論が必要で、例えばコロナ禍で隔離されるような事態になった場合に、個人としては自由でありたいと訴えた時に、「生存権」がどう個人と国や社会を繋ぐのかが問われます。

そしてこの生存権には、単に「そこにいる」という意味だけでなく、健康で文化的な生存を国民から求めています。

そのような内容から介護保険制度や生活保護などの制度も運用されているのでしょう。

個人の尊厳と介護保険

介護保険制度の目的は、支援を必要としている高齢者に自立した生活を送ってもらうためです。

しかし、だからと言って3度の食事を提供することだけでは支援にならないことも想像できるでしょう。

つまり、高齢者の尊厳をいかに保ちながら、具体的にはその人らしい暮らし方を尊重しながら支援しなければいけません。

そこで介護保険制度では、保険医療、福祉サービスを主軸として在宅の高齢者には居宅サービスを、在宅での生活に困っている高齢者には施設サービスという形でサポートしようとしています。

2005年の法改正では、「地域密着型サービス」が提供されるようになり、それまでは在宅か否かで分けていた支援策を流動的に捉えて、在宅ながら施設に宿泊できるなどの小規模多機能型居宅介護や夜間対応型訪問介護などのサービスも導入されたのです。

介護保険制度のシステムを確認すると、ケアプランという支援計画書があることに気付かされます。

このケアプランは、国や行政が一般的に支援策を決めるのではなく、高齢者が自身の希望で選ぶことができるシステムを具現化しています。

そして、その実現には介護支援専門員(ケアマネ)が付き、サービスを潤滑に運営できるように手助けします。

さらに、地域包括支援センターをすべての市区町村に設置することで、まだ支援が必要ではない高齢者に対して、広く予防や相談に応じるなどして、自分らしい暮らしを維持する試みも行われています。

施設やスタッフに対して

介護保険法では、事業者に対して要介護者の人格を尊重しなければいけないことが記されています。

また、介護福祉士に倒しても秘密保持や連携保持、誠実義務などがあり、各高齢者の人格を守るために明記されました。