第34回介護福祉士国家試験対策 「発達と老化の理解」を勉強する パート2

 発達の老化の理解

人間の成長と発達についての特徴に目を向けると、感情と並んで記憶にも目を向けましょう。

瞬間的な記憶(感覚記憶)、数秒から数十秒の記憶(短期記憶)を合わせて一次記憶とも呼ばれ、それよりも長い期間(長期記憶)を二次記憶と呼んだりもする。

感覚記憶が加齢による影響を受けにくいのに対して、短期、長期記憶は加齢による影響を受ける。

記憶の種類と加齢の影響

エピソード記憶

個人的な出来事の記憶(加齢による影響大。段々と話の内容が変化されていく)

意味記憶

学習、経験による記憶(影響を受けにくい)

手続き記憶

身体で覚えている記憶(影響を受けにくい)

顕在記憶

自発的に思い出せる記憶(影響を受けやすい)

潜在的記憶

無意識にでもできてしまう記憶(影響を受けやすい)

知能と加齢の変化

結晶記性知能

学習や体験を通じて「獲得」によって得られた知能(高齢になっても影響を受けにくい)

流動性知能

適応によって発揮される知能(高齢になると影響を受けやすい)

高齢者の性格

 加齢に伴い、若い頃とは肉体的にも精神的にも変化が見られます。

そして、その変化が影響を与える場合には、高齢者特有の性格となるでしょう。

過去と現実を区別し、今の生活を積極的に受け入れるタイプがいる一方で、現役時代の責任などから解放されて今を悠々自適に生きるタイプ、また老いることに逆らおうと努力することで不安から逃れようとするタイプなどがあります。

それらの根底には、「老いる」ことに伴う変化とどのように向き合うのかがポイントで、介護する側もその変化を理解して、高齢者特有の性格を察することが大切です。

年齢と共に増加する身体的な疾患の影響もあり、健康意識が高まる傾向があり、中には病気をきっかけに性格までも大きく変化する方もいます。

若い頃のように、治療や休息によって健康面が回復するという楽観的な感覚が薄れることも多い高齢者の場合には、それだけ喪失体験を通じ、迫ってくる恐怖心も強くなるのでしょう。

高齢者の精神的な変化

高齢者特有の精神疾患の1つとして、抑うつ状態があります。

気持ちの落ち込みを指しますが、気分的なものもあれば、家族や友人など、これまでの生活が変化する中で蓄積された「老い」のネガティブな感覚が時に現れます。

また、そのような感覚を、自分自身で受け止めることが難しい場合には、せん妄状態に陥るなどして意識障害を招くこともあります。

さらに、快適な睡眠を得るために、メラトニンの分泌が欠かせませんが、高齢になるとその分泌量も減少し、夜間に何度も起きてしまうなどの現象が起こります。

眠剤の投与や運動習慣など健康的な生活を維持し、昼夜逆転にならないように注意しなければいけません。

 加齢と老化

「老化」による変化を、変化に対応する準備力の低下として捉えることもできます。

ホメオスタシス(恒常性)とも言いますが、変化に適応する安定感を保つことは、老化現象の発生を抑えることにも繋がります。