実務者研修「介護の基本I・ II」ではどう解説しているか?
「介護福祉士を取り巻く状況」
1987年、中央社会福祉審議会等福祉関係三審議会の合同企画分科会から、福祉関係の資格制度の法整備が持ち上がります。
つまり、それまでの介護職は、医療関係資格者はいても、介護を専業とする従事者に与える資格が無かったということでしょう。
そして、介護福祉士という国家資格を創設し、その後に訪れる多様な社会からの介護ニーズに応えることができる人材育成が急務となりました。
1989年に初めての介護福祉士国家試験が開催され、3073名の第一号合格者を誕生させると、2012年には累計で100万人を超える有資格者を輩出しています。
一方で、創設当時とは異なる社会ニーズも明らかになり、2007年の法改正では「入浴、排せつ、食事の介護支援」から「心身に応じた介護」に目的が改められ、単純な介助員を求めていないことが明記されました。
2011年からは、介護福祉士にも適切な研修を経ることで経管栄養や喀痰吸引などの医療行為を限定的に認めるなど、介護福祉士に対する期待は拡大されています。
「介護福祉士の役割と機能を支えるしくみ」
改めて「介護福祉士とは何か?」を確認しましょう。
介護福祉士が対象としているのは、身体上又は精神上に障がいがあって、日常生活に支障を感じている人です。
一方で、介護福祉士と名乗るべき条件として、成年被後継人または被保佐人ではない者。
禁固系以上の罰則を受け、その執行から2年以上が経過していない者。
虚偽や不正な事実に基づき介護福祉士登録したり、信用失墜、秘密保持の規定に違反し、登録抹消から2年が経過していない者。
以上の場合に該当すると、介護福祉士として名乗ることが認められていません。
介護福祉士として期待されていることとして、「誠実義務」「信用失墜行為の禁止」「秘密保持義務」「連携保持義務」「資質向上の責務」「名称の使用制限」などがあります。
そして、介護マンパワーの確保とキャリアパスも重要とされ、社会的な介護支援サービスを行う人材確保と同時に、従事者のキャリアアップにも国として後押ししています。
1989年というと、介護福祉士が誕生した年でもありますが、「ゴールドプラン」が制定され在宅福祉推進十カ年事業をかわきりに、新たな介護の体制が始まります。
1990年、ゴールドプランを受けて、福祉8法改正も行われ、市町村を基本とした福祉サービスの提供が確立されました。
1994年、新ゴールドプランの制定され、ゴールドプランでも目標としていた人材確保がより増員されました。
同時に、利用者本位、自立支援、普遍主義、総合的サービス、地域主義の基本理念も示されます。
「尊厳を支える介護」
QOL(生活の質)には、内的側面と環境的側面があって、双方の向上とバランスが重要になります。
また、ノーマライゼーションに対する理解も必要で、高齢者や障がい者であっても健常者と一緒に助け合いながら社会として支え合おうとする理念です。
「自立に向けた介護」
介護というと、代行することと理解しているかもしれません。
しかし、介護福祉士として求められる介護は、「自立支援」になります。
他からの支配を受けずに存在(生活)を継続することを理想としています。
そこで、介護する場合も、利用者の尊厳と自立を考えた支援を心がけます。
ICF(国際生活機能分類)には、健康状態、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子の6つのファクターがあって、それぞれに分類することで、必要とされる支援や可能性を分析できます。
リハビリテーションとは、病気や後遺症によって動かなくなった手足を最善の状態に回復させる機能回復訓練ですが、急性期、回復期、維持期、終末期と分類され、結果的には障がいが残ったとぢても、社会とのつながりある生活を実現させることに趣きがあります。
「介護を必要とする人の理解」
高齢化また障がいによって、人の生活は変化します。
高齢者は、自己調節機能や回復機能の低下、感覚や知覚、注意力の減少も起こります。
また、結晶性知能(低下し難い)と流動性知能(低下しやすい)があり、高齢者は流動性知能が低下しています。
試験でも記憶に関する出題があり、短期記憶の他、長期記憶には、意味記憶、手続き記憶、展望記憶なども含まれます。
障がいによる心理として、個人的要因、障がい関連要因、環境的要因の3つが複合的に影響します。
その上で、どう支援するべきかを踏まえて、ありのままを「受容」することへと繋げていきます。
受容には段階的な過程があって、段階説といいますが、ショック期、否認期、混乱期、解決への努力期、受容期を移行します。
前半の5つに関して、もう少し掘り下げてみました。