介護士として働く時に
介護の仕事では、利用者の生活行動をサポートすることも珍しくありません。
「立つ」「起きる」「歩く」「座る」など、頻繁に起こる動作は、何度も行われます。
それだけに間違えた手段で介助を行う介護士も少なくなく、「腰痛」に悩む人を頻繁に遭遇します。
しかしながら、利用者の動作を支援する「介助」は、言葉や目で見ただけでは分からないことも多く、施設によっては新人教育の場面や3年程度継続勤務した介護士を対象に、「介護技術」の勉強会を取り入れたりしています。
格闘技の練習に似ている!?
空手や柔道、レスリングなど、介護技術につながるようなテクニックを用いる格闘技も少なくありません。
ポイントは自分と利用者の重心位置を把握し、これから行うべき行動のためにはどんな現象に誘導するべきかを繰り返し練習しなければいけません。
割に男性介護士はもともと腕力に優れていることもあり、介護技術も力に頼る場面も出てきてしまうでしょう。
しかし、連続して10人、20人と起き上がり支援をしなければならないような場面では、適切な方法をマスターしておくことが大切です。
不適切な方法で行うと、自身の腰を痛めたり、相手の利用者に負担を掛けてしまったりするでしょう。
腰痛予防の意味で、ウエストベルトを着用するのは問題ありませんが、だからといって適切な介助方法を学ばないのは残念な行動です。
重心の位置を常に考えることが近道かも!?
例えば、ベッド上に側臥位で横たわる利用者がいたとしましょう。
そんな状況で、端座位から車イスへと移動まで行いたい時、何よりも利用者を起こすことが必要です。
試しに誰かの片足を持ち上げてみましょう。
きっと想像以上に重いと感じはずです。
つまり、もともと体はとても重い存在なのだと理解しましょう。
そんな中で寝転んだ人を起こしたい場合、その瞬間の重心位置を意識しながらも利用者の身体をコンパクトにします。
両腕は両肘を抱え込むように胸の前で組んでもらいます。
さらに両足を共に膝立してもらえば、お尻に重心があると考えて頭と足を少し持ち上げます。
そこでポイントとなるのは、臀部を支点にしたユラユラを体感すること。
実際に行ってみると、ほとんど力を加えなくても身体が簡単に動くことを体感できるはずです。
つまり、どう使えば身体は簡単に動かせるのか、柔道などでは動かされない方法として学びますが、介護では「逆」で動かす方法として学習していきます。
しっかりとコツを掴むことで腰痛予防に繋がる他、非力でも安全に介助できる方法が身につけられます。
施設選びをする際、入職後の研修の有無や、その際の内容についてもしっかりと説明してもらえると、技術が身につくので仕事にやりがいを感じられるでしょう。