「 ザ・ノンフィクション」とは?
1995年10月からフジテレビ系列で放送されているドキュメンタリー番組。
日曜日の午後2時から1時間枠で(厳密には2時から2時55分)さまざまな人間模様を描いた密着型の内容となっている。
こみちも録画予約しているが、在宅時は生放送で視聴することも多い。
「ぼけますから、よろしくお願いします。」を観ただろうか?
これまでにも独特な切り口で、いろんな生き方をしている人々に密着して来たのだが、2020年11月29日に放送された『ぼけますから、よろしくお願いします。』は涙無くしては観られないとても考えさせられるテーマを取り上げていた。
内容を簡単に説明すると、故郷を離れて上京した映画監督となった娘が、老いた両親の姿を撮影したものである。
若いと思っても、両親が90代になれば、日々の生活に異変が生じても驚くことはない。
介護士としては、70代はまだまだ若い、80代は頑張りどころ、90代は自分を大切にして欲しいと思う。
つまり、両親が90代になると、さらに5年後、どんな暮らし方を選ぶのか、家族全体で考えていいはずだ。
放送に登場する父も母も、とてもいい人だ。
若い頃からどんな風に生きて来たのか、その表情や仕草を見れば想像できる。
でも、必ず誰にでも「老い」は迫って来て、時にその過程で自分が嫌になり、家族に申し訳ないと感じたりする時期が来る。
娘である撮影者は、「私がここに戻って暮らそう!」と提案する。
しかし、人が良さそうな父は、「親のことで犠牲になることはない。東京で頑張れ」と答える。
暮らしぶりを考えると、少しずつ認知症の症状が現れた母親を思えば、家族3人での暮らしも無い話とは言えない。
ところが、父親は母親の面倒を一人でみるというし、そこに気負った雰囲気も感じない。
朝起きるのが辛い母親は、まだ布団にくるまっている。
その脇で新聞を読む父親が、目を覚ました母親に気づく。
母親も父親の存在に気づいて、布団の中から手を伸ばす。
新聞を読みながら、その手を優しく握り返す父親。
日常生活の一コマ。
だけど、そこには夫婦の愛情が誰にでも分かる。
しかし、日に日に母親は認知症が進行し、以前はできたことも時間が掛かり、できなくなることもある。
洗濯の途中で、疲れて床に寝転んでしまい、まだ洗われていない洗濯物の中に埋もれている。
90代になった利用者のおおくは、すでに一人で立つことができなこともある。
自分で食事できなくて、介護士が食べさせていることも珍しくない。
それから考えれば、洗濯しようと頑張っているだけでもすばらことだ。
でも、自宅で暮らしていれば、「できて当たり前」という感覚だろう。
誰もが、いきなりおじいちゃんやおばあちゃんになる訳ではない。
段階を踏みながら、少しずつ出来たことができなくなってしまう。
最後には立ち上がることも寝返りを打つことも難しくなり、ベッドで寝たきりになってしまうこともある。
それが、「老い」なのだ。
ドキュメンタリーを観て、特別な感覚はなかった。
むしろ、そこには当たり前があって、だからこそ「我々はどう老いて行くのか?」を考えなければいけない。
観ていない人は再放送を探して観て欲しい。
観た人は、介護士でなくても、「老い」について考えて欲しい。
人気で評判なドキュメンタリーらしいが、両親の人柄の良さが伝わるだけに、段々と老いていく様は涙を誘う。
ぜひとも視聴して、キレイゴトでは語れない老後に目を向けましょう。