24時をどう生きるべきか?

 頑張り方が分からない…。

「三歩進んで二歩下がる」という有名な歌詞があるけれど、こみちの人生もそれに似ている。

ある時期、それまで苦戦していたことが打破されて、ヨロヨロと勢いで2、3歩前に進む。

そこで見える景色はとても綺麗で、これまで努力を続けてきたことが実を結んだように思う。

そして、さらに一歩。そして、また一歩。

だいたい、その辺で足元を掬われて、見事に転倒してしまう。

時には顔まで擦りむいて、その顔を見た人から「何があったの?」「どうしたの?」と質問攻めに合う。

「いきなり、転んだ!」

本当に青天の霹靂で、危ないと思った瞬間すらないほどだ。

何か滑りやすいものが転がっていたのだろう。

正直なことを言えば、どうして転んだのか理由が分からない。

でも、転んだことは事実で、何よりこんな風に転倒したのはこれが初めてではない。

むしろ、調子が出てくる頃になると、何かで頭をごつんと叩かれるようなことが起こる。

介護士という選択肢を選んだ時

実はこみち、介護士になるのは気が進まなかった。

なぜなら、介護で扱うことになる他人の人生にどう関われば良いのか分からなかったからだ。

他人の波長を拾いやすく、感情が同化しやすいことは知っていた。

それがタロット占いを始めた時にも影響したし、介護現場に出てみて利用者から温かく迎え入れられたのもなんとなくこれまでの経験から想像できる。

だからこそ、その人の気持ちに近づけば近づくほど、いろんな感情を知ってしまうことも多い。

正直に言えば、この頃介護の仕事に熱が入らない。

でも現場に出ると、利用者たちとの触れ合いもあって、疲れるものの時間が経つのも早い。

帰宅すると、「もう行きたくないなぁ」という気持ちでいっぱいになる。

仕事が嫌なのでも、出勤が面倒なのでもない。

でも、時々、感情的にいっぱいになり、抱え込んだ感情を放出したくなるのだ。

ただ、「介護の仕事をしてみようか?」と思った時、実務者研修の話も、通い始めてからも、話がとんとん拍子に進んだ。

卒業して施設見学に行った時も、なぜか今の施設を選び、勤務することになった。

今は別の人になってしまったが、採用担当をしてくれた人が温厚で、こみちの不満を一つずつ笑顔で相談乗ってくれた。

勇気が出なくて、介護士として働く自信がなかったから、きっと介護士ではなく、別の仕事に就くだろうとこみち自身も思っていた。

ところが「もう一度、施設見学させてください」と連絡したのは、何かの縁だったのだろう。

残念なことだが、今は上層部が一変し、施設の雰囲気がガラリと変わった。

活気がなくて、でも仕事量が増えた。

介護士の表情もなんだか暗いし、疲れているのが分かる。

何より施設長の表情が曇っていて、現状をどう変えれば良いのか戸惑っているようにもおもう。

人と深く接することが、心のどこかで怖いと感じ、自分が保てる距離を求めて生きて来た。

そんなこみちが、介護士になり、利用者の悩みや不安に寄り添うようになった。

きっとこんな風に感じているのだろう。

だからこそ、丁寧に接するようにしている。

その甲斐あって、利用者たちから温かく迎え入れられた。

今、心にぽっかりと隙間ができた。

理由は、予期していなかった相手からの連絡があったからだ。

想像もしていなかった連絡に、「嘘でしょ!?」と思うしかできない。

でも、それは事実で、だからこそ状況を整理し、できることをして誤解が晴れるのを待つしかない。

だからに背中を押されるように「介護士」へとなったこみち。

一方で、そんな介護士から距離を取りたいと考え始めたタイミングで、連絡が来た。

まさに、こみちの腹の中を見抜いていたかのような展開だ。

まだ諦めるなと言われているのかもしれない。

24時をどう過ごせば良いのか、何となく言いたいことに気づいていて、それをもう一度、確認しておくべきなのだろう。

三歩進んで二歩下がる

思う以上にゆっくりで、なかなか前に進むことはできない。

二歩下がってみて、心が折れそうになったけれど、もう一度歩きだそうと決めた。

まだその一歩を踏み出すことはできないけれど、自分らしくゆっくりとしたペースで歩み出せばいいと思う。

もしかしたら、1か月以上掛かるのかもしれない。

でもその時間が無駄にならないように、今を大切に生きてければと思っている。