どこまで介助支援するべきか?

 立位が保持できるかどうか?

介助を行うポイントとして、利用者本人が「立位」を保持できるか否かは重要です。

というのも、立っていることができれば、衣類の着脱が可能となり、入浴方法やトイレ介助、ベッドから車椅子への移乗など、代表的な介助が行えるからです。

一方で、立っていることが難しくなり、例えば介助者を付けても膝が折れてしまい座り込むような場合には「全介助」が基本となります。

立位が保持できる段階が要介護1又は2(要支援の場合もある)となるのに比べて、立位が保持できないと要介護3から段階的に5までに振り分けられます。

それだけ、「立位」というのは介助支援の度合いを見極める際のポイントなのです。

立位保持の限界値

「立ってください」と言われて、容易に立ち上がれる人はそのもの介助が必要ではないかも知れません。

しかし、「手すりを捕まれば」とか、「誰かに支えてもらいながら」とか、立つと言っても介助の度合いは様々です。

例えばトイレで用を足すことを考えた時、「立位保持」ができるまたは介助者のちょっとしたサポートを受ければという段階なら問題はありません。

しかし、立ち上がる時だけでなく、立ち上がった後も介助者が両手で支えなければ難しいような場合になると、介助者1名ではトイレ介助中の転倒リスクが高い状態でしょう。

もしもその際、立ち上がってしまえばどうにか30秒くらい手すりを持ったまま立っていられるなら介助支援は工夫次第で可能です。

ただ、介助者の立場になると、全面的に補助しなければ立ち上がれないような状況では、全く異なる別の介助方法も検討して欲しいところでしょう。

トイレなど狭いスペース内で転倒してしまうと、何処かに身体の一部を引っ掛けて身体を捻ったり、打撲したりもあり得ます。

特に転倒によって今まで以上に立位が困難になれば、要介護4や5になって行くでしょう。

身体的機能と精神的側面

立位が保持できるかは、身体的機能の状態です。

一方で、精神的な側面からはトイレで用が足せないということは、決して簡単に受け入れられることではありません。

通常は、介助のし易さからオムツが使われます。

ベッド上でパット交換を行い、もうトイレは使用しません。

施設でも、利用者の半数は終日オムツを着用していて、トイレには行きません。

しかし、これまでトイレに行くことが当たり前だった生活から、オムツで用を足すスタイルに変化した時、すんなりと受け入れられる人は少ないのです。

認知機能が低下している状況でも、着衣状態で排尿するのは違和感があるからです。

まして、オムツをしたままの排便となれば、さらに強い違和感が伴います。

つまり、心の中ではそんな葛藤が起こっていて、仮に「立位」が困難だったとしても、トイレで用を足せるか否かではなく、その事実を受け止められるかは大きな問題です。

実際、「オムツは嫌だ!」と訴える利用者もいますし、老化や心身機能の低下を受け止められない場合も多くあります。

その意味では、介助者の介助支援をどこまでリスクを背負って行うかは現場判断ではなく、施設全体で基準を作るべきです。

介助者によって、身長も体力も大きく異なります。

フラついても支えられる介助者もいれば、座り込んだ人を支えることも難しい介助者がいます。

一方で、困難な介助は、できる限られた介助者が行うと断定するのも、負担の一極集中が始まるので、やはりどこまで介助支援するかを決めるべきでしょう。