できない介護士ほど利用者をコントロールしたがるのか?

 介護士と利用者の関係図

まだこみちが新人介護士だった頃、笑顔で迎えてくれる利用者とどことなく煙たそうにしている利用者がいるように見えました。

先輩介護士たちも、どの利用者なら接しやすいのか心得ていて、「〇〇さんをよろしく!」と言われては緊張しながら応対していたことを思いまします。

嬉しいことですが、今は介護現場に入る時に「今日もよろしくお願いします」と誰というわけでもありませんが、自分自身の気持ちを切り替え意味で大きな挨拶を心がけています。

そんな習慣もあって、利用者たちは声を聞くとこちらを見てくれます。

手を振ってくれたり、笑顔を浮かべてくれたり、手招きをして呼び寄せようとする利用者もいます。

タイプの異なる利用者たちが、これだけ迎え入れてくれるようになったのは本当に嬉しい限りです。

というのも、こみちは介護が利用者のものであって、利用者が望むことを叶えることが介護士の役割だと信じているからです。

そんな風にいうと、「アイツのは介護ではない!」とか、「利用者を甘やかしている」と批判された時期もありました。

中には、利用者をコントロールしたがる介護士もいて、露骨に嫌な顔をして来たこともあります。

でも、そんな介護を続ける中で発見したこともあって、利用者は完全に介護士に依存してきたりはしません。

もしも依存して来たなら、介護士の優しいを誤解してしまった場合でしょう。

ある認知機能が低下した利用者にいたっては、以前から自身の排せつ物を触ってしまう癖がありました。

この前もそれで介護士が慌てていたということもあります。

でも、こみちが介護している時には、一度もそんなことはなく、「トイレに行きたい」とか「何かでそうみたい」と気持ちをきちんと伝えてくれます。

何より、用を足した後、「手を洗いましょう」と伝えれば、「トイレに行ったものね!」と自分から石鹸で洗います。

利用者のいいなりになると、利用者が調子に乗ってくると思う人は、実際にそれを1ヶ月徹底してみたら分かるのではないでしょか。

利用者に合わせないのは、利用者が調子に乗るからではなく、「使われる」自分自身が許せないだけだからです。

こみちは、利用者からあれこれと頼まれて、「使われている」と感じたことはありません。

逆に、こみちが介護士になったことで、利用者がストレスを軽減させられたなら良かったと思います。

こみちの経験で判断すれば、3人の利用者と同時に話すのが限界です。

御用聞きは5人まで。

それ以上になると、仕事が繋がってしまい、息を吐くタイミングさえ見失います。

話を聞き、すぐにできるものはすぐにして、少し時間が必要な時は「〇〇のと後に」と、予定を明示しながら、集まる利用者の要望をどんどん処理するようにしています。

実際、体力の持続が3時間くらいでダウンしてしまうので、永遠に継続できませんが、性格を把握した利用者10名なら2時間くらいは回せると思います。

20名でも1時間くらいは十分に対応可能で、食後、利用者のトイレと口腔ケア、寝かしまで担当しても、30分未満で10名は熟せるでしょう。

そう聞くと、雑な介護をしていると思われるかも知れません。

しかし、受け身を続ける介護を貫けば、利用者もこちらのいうことに耳を傾け、信頼して話を聞き入れてくれます。

特に認知機能が低下した利用者ほど、強い言葉や強制的な態度では動いてくれません。

でも、「これから歯磨きしましょうか?」と座るべきイスを指させば、利用者は躊躇いなく腰掛けてくれます。

そして、「〇〇して良いの?」と聞いてきたら、「どうぞ、良いですよ」と答えます。

効率だけを考えるとしない方が良いことでも、時には少し寄り道するみたいな時間を設けて、それが利用者の「やらされている感」が「している感」に変わるのでしょう。

高次機能障害の利用者が、時にトイレで何をすれば良いのか分からなくなることもあります。

声で誘導することもあれば、少し手を出して残りをお願いすることもします。

でも時には、「できるよ!」と積極的に自分でズボンを下げてくれることだってあるほどです。

少なくとも「何回言わせる!」とか、「ダメだね!」というような言葉は言いません。