作業ができると言う意味

介護現場における仕事の進め方


こみちは、介護士として活躍には、入浴、排せつ、食事の3つに関してスキルを身につけることが不可欠だと考えます。

ただし、そこまでの到達過程において、優先順位があって、食事、排せつ、入浴と覚えていくのがオススメです。

その理由として、実際の業務で類似するポイントを考えた場合に、入浴はいろいろな作業を総合的に求められるので最後になりました。

もしかすると、介護士の仕事は、そこですべて語られていたかもしれません。

しかし、「介護現場」においては、それぞれのスキルを身につけるだけでは対応できず、時に周囲から「エエ?」と驚かれることがあります。

そうならないためには、単純に個別の仕事ができるだけでなく、その作業に「何分」を要するかを常に頭で計算しなければいけません。

というのも、例えばオムツ交換ができるようになった人が、実際に作業を始めたら30分も必要だったとしましょう。

言い換えれば、その人がオムツ交換している間の30分、残されたスタッフだけで他の仕事をこなさないといけません。

場合によっては、30分掛かる人が作業するよりも、5分で終えられる人が担当して、残りの作業を全員で行った方が効率的だったりするのです。

つまり、ある人が自分は食事も排せつも入浴もマスターしたと思っていても、それを実際の現場で行うと、周囲の人が大変になってしまうのでは「できる」と言えるのか疑問です。

その意味では「なんとかできる」と「一人前にできる」では差があり、「なんとかできる」段階で、「一人前」と勘違いするのは危険です。

というのも、今日、こみちが半分のエリアの作業を済ませた時、残り半分のエリアはまだ仕事が残っていました。

「手が空いたら手伝って!!」

先輩介護士の声が響きます。

実はこみち、自分が担当したエリアをほとんど一人で終えました。

その間、どう仕事を進めれば早く終わるか、頭をフル回転させていたのです。

一方で、残りのエリアを担当していたのは3人の介護士。

それぞれが自分のペースで仕事をしているのです。

例えば、汚れた衣類を洗濯機で洗う場合、その工程に掛かる時間は誰がしても同じです。

違うのは、どのタイミングで始めるかでしょう。

つまり、早く始めないと終わらない作業は、優先的に手をつけるべきなのです。

目の前の作業を何となく始めてしまうと、一定時間が必要な仕事は終わりません。

ある意味、洗濯機を回すことも、利用者をトイレに連れて行くこともできる介護士が、何も考えずに仕事をすると、助っ人がいないと現場が片付きません。

そうだとすれば、ある程度はパターン化できる介護現場の仕事は、「何から始める」とチャート式にすれば良いのです。

他の人が1番目をしていたら、自分は2番目に入ると言う具合にして、必要なフォーメーションを確立させましょう。

多分、「仕事ができる人」というのは、一通りの作業を覚えた後、「効率的な進め方」へと意識を移していきます。

できない人ほど、個別の作業時間を短縮させることに意識が向き、結果的に一人では現場を回せないことになるのです。

今日、残りエリアにも加わり、ある程度の目処が立った頃、フロアに人がいませんでした。

というのも、こみち以外、次の仕事を始めるために別の場所に移動していたのです。

こみちがある時間までの作業を一人で行ったことで、別の介護士たちは次の仕事に移れたと言えばそれまでです。

しかし、まるで「ケツフキ」をさせられているような仕事は気分の良いものではありません。

同時に2つも3つも進めて帳尻を合わせるのですから、みんなも早く同じようにできるといいなぁと思います。

介護の仕事の不思議な部分とも言えますが、作業量として2人で回せる内容でも、仕事の進め方次第では4人でも回せません。

逆に、こみちよりも仕事ができる介護士なら、1人でも回してしまうでしょう。

つまり、4人でも回せない仕事を1人でも回してしまう状況が起こる中で、基本は同じ報酬なのです。

しかし、仕事の進め方を知らない人にとって、自分が手を抜いているとは思っていないでしょう。

逆に、オムツ交換などの作業ができるのだから、「足を引っ張っている」とは感じないはずです。

しかし、1人でも回してしまう状況で、4人も5人も必要なのは、「仕事の進め方」に問題があることを疑うべきです。

ところが、「仕事の進め方」は意識しないと自分ではなかなか気づきません。

無駄なことや後から一緒にした方が良いなど、処理の手順まで考えながら「今するべき仕事」を見つけるクセが大切なのです。

とにかく介護士として仕事を見つけたい人にとっては妥当に思える報酬額でも、数人が回せない仕事を1人でし始めて、「やっぱり同じ報酬」なのかと思うと「介護は稼げない」になってしまいます。

実際、仕事が早い介護士と組むと、リズミカルに仕事が終わります。

逆に人数が多くても、やけに仕事が進まない時もあります。

その差は明確で、みんなが仕事の進め方を把握していれば、ものの数分で片付く仕事も、余計な仕事が加わり、さらに非効率になってミスまで出てしまうのは心底疲れます。

両方のエリアを担当して、「だったらこみち1人で十分じゃないの?」と思ってしまうでしょう。

今の報酬が100だとしたら、150くらいでも言い過ぎではありません。

逆に、半分以下の仕事量で、同じ100をもらっているとしたら、段々とこみち自身が手を抜いて働くようになるでしょう。

実際、出来ても出来ないふりをする介護士も多く、本当に窮地になった時だけ頑張るタイプがいるほどです。

時々、「何でこんなにも介護現場は疲れるのだろうか」と思います。

その理由は、やはり一般のサラリーマンのような給料体制ではなく、資格手当や時間帯勤務による報酬制にしていることで、効率的な仕事の進め方が浸透しないのでしょう。