新しい事務長がやって来た!

4月の異動で何が変わったのか?


介護施設もある意味で会社組織です。

内部での出世もあれば、外部から新たに招くこともあるでしょう。

こみちのような立場では、「異動」が行われた背景は分かりません。

ただ、異動したことで上手くいっている部分もあれば、期待通りにならなかった部分もあるでしょう。

高齢者だった以前の事務長は、とても気さくな人でした。

館内でのイベントでは、施設を代表してのあいさつもしますが、利用者を交えた踊りでは一番楽しそうしているかも知れません。

実際、そんな事務長の人柄を慕って、いろんな部署の介護士やその他のスタッフが相談を持ちかけていたという噂も耳にしています。

そんな噂話が、「あの人ならね!」と思えるだけに、嘘だったとしてもみんなが信じるのでしょう。

4月になり、事務長が変わりました。介護老人保健施設の場合、原則「施設長」になれるのは、「医師免許」を持った人と決まっています。

そこで、こみちの勤務施設では「施設長」の他に、「事務長」という役職があり、日常的な施設の管理を担当します。

40代前半の若い事務長で、施設内の雰囲気も若々しくなったと感じる部分もあります。

一方で、事務長の席がある総務部のフロアは以前のようにスタッフが出入りする影もなくなりました。

「どうだい、こみちくん調子は?」

偶然に出会した時でも、よく以前の事務長はそんな感じでスタッフに気を使ってくれたものです。

「〇〇でしたよ!」

「そうかそうか、期待しているよ!」

大した話でなくても、末端で働くスタッフの言葉に彼なりの反応がありました。

今はと言うと、「お疲れ様です」と声を掛けても、横目でチラ見して無言だったりします。

明かにこみちよりも若い事務長ですし、彼にも彼なりの方針があるはずなので、具体的に何かアドバイスするつもりもありません。

しかし、組織を運営するという立場になった人だからこそ、「肩書き」に酔ってしまっては勿体ない話です。

もしも自分が施設長(事務長)になったら


介護施設の良し悪しを決めるポイントの一つが、施設長の人柄です。

実際に施設見学をして、面接を受けることになれば、施設長と話す機会もあるでしょう。

給料や休日日数など、事務的な内容は総務部の事務員から教えてもらえば十分です。

しかし、これから勤務することになるかもしれない施設の方針を見極めるためには、施設長の人柄次第でしょう。

現場スタッフとのトラブルが起こった時は、直属の上司であるリーダーに相談することになります。

しかし契約条件や勤務時間の変更、異動願いとなってくると、直属の上司に言いにくい場合も出てくるでしょう。

そこで最後に相談できるのが施設長であり、その時は辞職や退職を検討している厳しい状況かも知れません。

そんな場合に、こちらの考えや意見にどこか真摯に対応していない雰囲気を感じたら、もう相談ではなく「結論」になってしまいます。

すれ違った時にあいさつしても応えてくれないという姿を見れば、「最後はトントン拍子に進むのだろう」と想像してもおかしくありません。

中高年の方で仮に介護業界が未経験だったとしても、自分が施設長に抜てきされたらどんなことを心がけますか。

こみちの場合なら、「いっしょに働きたい」と思ってもらえることを目指します。

職場選びは、報酬額で決めるという人もいますが、長く続けられるのは「やりがい」があるところでしょう。

「やりがい」はいろんなところに隠れていて、90%が大変でも10%が楽しいと続けられたりします。

逆に楽で暇な仕事でも、職場の雰囲気がとても悪いと仕事に行くのさえ億劫になります。

中高年で転職を経験すると、将来性に乏しい職場も不安なもので、スキルや知識が身につけられることも必要です。

「施設長がいるから頑張りたい!」

そんな単純な動機ってないと思われるかもしれませんが、意外と重要なことなのです。

施設長でなくても、リーダーの背中や利用者の人柄など、「自分にも何かできなか?」と感じる機会はどこにでもあります。

もしもどこにも見つけられなければ、その報酬額に不満を感じたら、人はあっさりと転職してしまうでしょう。

逆に現場に残るのは、マイペースで働くスタッフたち。

介護施設という職場では、ちょっと気になる働き方でもあります。

良い介護施設を実現するには、いくつかの矛盾とやる気を出させるロジックが必要です。

どんなに頑張っても安月給のままで変化がないとしたら、どこかで「このままで良いのだろうか?」と疑問に思うでしょう。

頑張ることで先輩たち中に憧れる出世でもした人がいれば、苦労も期待に変わります。

ただ、介護業界に限ったことを言えば、安定した職場ではあるものの、大きく稼げる仕事ではありません。

個人的には利用者に寄り添うことで介護士として幅広い経験が身につくものの、それを活かせる場所がなければ、自己満足で終わってしまいます。

介護の仕事に将来性を持たせる意味でも、頑張る対価を明確にしていくことも必要です。

報酬で応じられないなら、どんな方法があるのかを考えるのが施設長の大きな仕事です。

介護に関するキレイゴトを並べても、介護士としては「だから?」になってしまいます。

なぜ、契約した時間よりも早く職場で働き始めるのか?

なぜ、利用者優先と言いながら、スタッフの都合で介助を拒否するのか?

なぜ、先輩は動かないで、新人ばかりが忙しく現場を回すのか?

これを同じではないにしても、介護施設ではいろんな疑問転がっています。

しかしながら、こみちは自分の経験として仕事をして来ましたし、その先の方が興味もあるので、「何だよ!」とは思いません。

実際、利用者はみんないい人ですし、介助されることに遠慮や配慮をしてくれる人です。

だからこそ、こみちができる最善の方法で対応するように心がけています。

別に施設長に限った話でもないのですが、中高年になってからの転職だったからこそ、職場が楽しい場所であって欲しいのです。

できない時はフォローもしますし、してくれたら助かります。

なのに、面倒な仕事からは逃げて、人が見ていたらしゃしゃり出るという働き方は、つまらないのです。

今さら、誰かを差し置いて「部長」を目指そうという意気込みもありません。

報酬額や達成感だけで言えば、介護業界だけのものではないからです。

もちろん、これからも介護業界で頑張りたい人もいるでしょう。

そんな人は、利用者から慕われ、スタッフからは信頼させ、上司からは期待されながら成果を残すことです。

その結果として、目指すポジションが待っているでしょう。

しかしそれだけの信念と覚悟があるのなら、介護業界が未経験からでも受け入れられるという噂話に頼るべくではありません。

自身が望む業界で、自身の考えやビジョンを受け入れてもらうことがオススメです。

こみちとしては、単純に「偉そうぶる」行為が好きではないのかもしれません。

介護現場でも、つべこべ言わずにささっとオムツ交換して欲しい時があって、意外としてくれない介護士もいるのです。

利用者はそれを知っていて、してくれない介護士にはお願いしません。

ところが、それを心地よく感じてしまう介護士がいるからこそ、他の介護士が慌ただしくなるのです。

「何なの?」

そこに目が行くと、介護はつまらない仕事になってしまいます。

そうではなくて、いかに利用者との距離を保ち、心地よくケアできるかに面白みを感じられたら、長く続けられる仕事になるでしょう。

それもこれも、施設長の人柄に掛かっているという話でした。