第34回介護福祉士国家試験対策 「発達と老化の理解」を勉強する パート5

 高齢者と健康

医療、介護ともに高齢者の健康を確認する方法として「バイタルサイン」が使われます。

具体的には、体温、脈拍、血圧、呼吸が挙げられます。

脈拍は、運動状態やストレス状態などでも変化するので、安静時に測らなければいけません。

測定場所は、手のひら側の手首部分にある橈骨動脈です。

目安となる正常値は60〜100回/分で、60回以下を徐脈、100回以上を頻脈と呼びます。

頻脈の場合には、脱水症状や大量の出血などが考えられ、徐脈の場合には心機能の低下が疑われます。

また、規則正しく脈打つ場合を整脈といい、不規則な場合を不整脈と呼びます。

血圧の場合、正常値の目安として、最高血圧120〜130mmHg、最低血圧70〜80mmHgと言われています。

体温については、個人や測定時間帯でも変化します。

多くの人は、35〜36度台でしょう。

また、朝方は低く、夕方には高くなる傾向があります。

通常、脇の下で測定する「腋窩検温法」で行います。

呼吸については、目安として12〜16回/分で、22回を超えると過呼吸と呼ばれます。

健康状態の確認では、チアノーゼの有無、呼吸の深さが均一か、下顎呼吸の有無にも注意して観察します。

具体的な身体のチェックポイント21

1)発熱

高齢者の場合、風邪や肺炎になっても発熱があるとは限りません。

しかし、いつもよりも熱があり、元気がなかったり、食欲不振などがみられる時は、肺炎を疑います。

また発熱で汗をかく場合には、水分の補給が大切です。

2)寒気・冷え

寒気や冷えも若い頃に比べて高齢者は訴えることが多くなります。

それは、温度調節を行う機能が低下することが原因です。

ポイントとして、足の甲にある足背動脈がしっかりと確認できるのかにも注意しましょう。

なぜなら、寒気の訴えが血行不良から生じている場合などは、四肢の末端部分まで血液が十分に循環していなかったりするからです。

3)ほてり

主な原因は、血管の収縮を管理する自立神経がうまく働いていないことです。

生活リズムを整えるために、適度な運動を取り入れるなどの対策が有効です。

4)倦怠感

高齢者の場合、疲れや寝不足にって倦怠感を感じる他、貧血や肝臓疾患、腎疾患、うつ、甲状腺疾患、加齢などの理由もあります。

5)頭痛

高齢者に多い病症です。

緊張型、偏頭痛というのも多い。

6)意識障害

意識障害が見られる場合には、生命にも直結するので、状況に応じて判断します。

脳疾患、糖尿病、肝機能障害、てんかんなどについては早急な対応が求められます。

必要に応じて3ー3ー9度方式を使い、意識レベルを数値化します。

7)めまい、立ちくらみ

一般的に回転性のめまいは脳神経外科の診察、非回転系のめまいは内科で診察されます。

高齢者のめまいでは、耳石に位置が変わることで起こり、内耳の奥にある病気ではメニエール病、脳循環障害などが考えられます。

血圧異常、動脈硬化の場合には、めまいが治まっても、めまいを繰り返したりします。

8)咳や痰

咳は、気道における粘液の過剰分泌を排出する時に起こります。

気管支炎、肺炎、結核などが疑われます。

9)呼吸困難

心臓や肺に関する病気を疑います。

具体的には、心不全、狭心症、心筋梗塞、肺炎、気管支炎などの疑いが想像されます。

10)胸痛

胸痛は高齢者に多い症状です。

時期、頻度、持続時間などを確認します。

11)動悸、息切れ

動悸とは、心臓の拍動が強く意識できる状況を言います。

息切れとは、呼吸が困難に感じたり、息をするのが大変に思う状況です。

12)むくみ

むくみとは、血管の内部と外部にある細胞外液のバランスが崩れて、血管の外部に水分が蓄積した状況を言います。

13)口の渇き

加齢により褐中枢機能は低下します。

また、高齢者は脱水症状が起こりやすくもなります。

14)喉の異常

喉の飲み込みに異常が生じると、食べ物を喉から食道に送り出せません。

咳き込みやすい理由にもつながります。

15)腹痛

痛みの状態や部位、さらには持続時間などから判断します。

高齢者の場合には、胆石症や胆のう炎などが疑われます。

16)排便異常

高齢者の場合、腸の動きが鈍くなり、摂取する水分量も低下しやすいことで、便秘症状になりやすいと言われます。

そこで、積極的な水分摂取を意識しましょう。

17)排尿障害

尿失禁の他、頻尿、尿閉などが疑われます。

18)視覚の変化

加齢により、視力の低下、視界も狭まるなどの症状が現れます。

また、白内障なども起こります。

19)聴覚障害

加齢により、高音から聞き取りづらくなります。

20)皮膚の異常

高齢者に多い皮膚の異常として、掻痒症、接触性皮膚炎などがあります。

また、カンジダ症や疥癬、帯状疱疹、白癬菌、皮膚がんなどが起こりやすくなります。

21)手足の痺れ

手足がふるえることがあり、筋肉疲労などから起こります。

手足が強張る場合には、関節リウマチが疑われます。

歩行や関節痛なども多くなります。