中高年男性が介護士になった時に
中高年男性には、本人は気づいていない傾向があります。
と言うのも、介護施設は女性が多い職場なので、一般的な会社には無い独特な雰囲気もあるからです。
その一つが、「曖昧な指示」に対する反応です。
女性同士であれば違和感のないこの「曖昧な指示」も、男性にとっては少し物足りなさを感じやすく、「一体、どうすれば良いのだろう?」と疑問に思ってしまうのです。
特に上司が女性の介護士と言う場合、その指示は外向きで、指示の範囲が不明瞭に思えるのです。
その際、男性としては、可能な限り対応することをスタンスとし、指示された内容に従おうと考えます。
そのような行動が、男性にとっては大きな負担ですし、ストレスにもなってしまいます。
「どこまですればいいのかわからない!」
上手く流れているように見えて、実は男性スタッフは不満を抱えています。
一方で、女性スタッフ同士は十分なコミュニケーションをはかれているので、疑問に感じることはありません。
つまり、指示の出し方そのものに疑問を持つことはなく、だからこそ部下として男性スタッフは困惑したままになってしまうのでしょう。
ラインを明確にして欲しい!?
男性にとっては、基本的に思考が内向きに進みます。
つまり、ある目標を定めるところから始まり、そのために必要なプロセスも決定されると言う流れです。
では女性スタッフはどうかと言うと、「まず始めてみよう」と言うスタンスがあります。
もちろん全ての人がそう考えると訳ではありませんが、実際に仕事をしてみて感じる傾向には、少なからず男性とは異なっています。
つまり、思考が外向きで、物事が進展されるに従ってゴールが決まっていきます。
仮に男性スタッフが、女性の上司に「指示を明確に出して欲しい」と訴えたとしたら、反応は二つに分かれるでしょう。
過去に男性スタッフとの関係に慣れていて、男性の思考を理解していれば、欲しい項目を先に伝えてくれるようになるはずです。
一方で男性スタッフに慣れていない場合、対応に困惑し、場合によっては少し関係に距離が生じてしまうかもしれません。
感覚的に判断することに長けた女性は、事前にあれもこれもと決めるのが好きではなく、時にそんな行為を煩わしく感じるでしょう。
つまり、事前に明確な指示が欲しいと訴える男性スタッフをどこか扱い難いと感じてしまうのです。
そして、その態度に男性スタッフも気づくことがあり、訴えた指示の改善をむしろしなかった方が良かったと後悔してしまうでしょう。
そうなると、急に男性スタッフの働き方に変化がみられ、どこか無難な作業を優先しているように見えてきます。
積極性に欠け、仕事に意欲を見せなくも思えてしまうでしょう。
その意味では、男性が多かった職場で感じなかった働きにくさも介護施設にはあるかもしれません。
一方で、未経験の介護士になることで、心機一転し、新たな意欲を得られる可能性も十二分にあるでしょう。
結局のところ、双方が歩み寄る気持ちを持てるかに掛かっているので、中高年の男性が介護士として働く場合には、利用者に対する寄り添いだけでなく、女性スタッフに対する関わり方にも工夫が必要です。
こみちの場合どうしているか?
こみちはあまり相手のプライベートを聞いたりしません。
深く知ることは相手を理解する一歩ではありますが、知ることで関わりにくさも出てしまうからです。
つまり割と淡々と対応していて、感情的にならないように心掛けています。
それでも時に指示の目的がわからずに、「こうしておけば良いの?」と最終的な状態を確認したい時は出てきます。
と言うのも、気になる部分を全て行うには時間が必要ですし、そこまで掛けるつもりもないとしたら、「範囲」を確認したいからです。
このような思考はまさに男性特有で、言い方を変えれば、女性は感覚的に判断が分かり合えることになります。
ただ、最近、こみちとしては働き難さを感じます。
と言うのは、介護士としてどうすればいいのかと考えるほど、それが男性的な思考と助長させ、時に職場の雰囲気と合わないからです。
前回、夜間帯の介護と言うものを紹介しました。
簡単に言えば、時間帯や人員によって行える介護が異なってくると言う話です。
それは男性と女性スタッフにもあって、時にそれでは仕事を満たしていないと思う時も、別の相手はそう感じていないということもあり、介護方針で齟齬が生じるのです。
時にそれは介護士として働く根底にもなりますから、中高年男性はある意味で深く考え過ぎないことが大切です。
こみち自身、求められる介護サービスをどう提供できるかと思案してきましたが、それ故に職場では少し異端児になっているように思えます。
自身が思う介護サービスを貫こうとすれば、余計に働き難さを感じますし、長く続けるには工夫も割り切りも必要です。