視野の広い介護士と狭い介護士の境界線

なぜ視野が狭くなってしまうのか?


介護の仕事は、本当にたくさんの項目で満たされています。

それだけに当日のメンバーによっても、仕事の大変さが大きく変化します。

では、どんな介護士がみんなから喜ばれるのでしょうか。

答えは簡単で、「仕事」をしてくれる人です。

ここで言う「仕事」とは、誰もがやりたく無いと思う荷の重い作業です。

太っているので移乗が大変だったり、暴力的又は言うことを拒むなど扱いに困る利用者などを介助しなければいけない時でしょう。

誰だって避けたいと思うわけですが、しなければスケジュールはどんどん押してきます。

慌てて作業するくらいなら、その時に覚悟するしかないのです。

しかし、人は弱いもので、失敗したらとか、下手だと思われたらとか、いずれにしても作業しない原因を自分で作り出し、避ける介護士も少なくありません。

介護の仕事には、「現場」のほかに「医療や管理者」としての業務も含まれます。

ある意味で、管理者的な業務に進みたいのであれば、「介護福祉士」を目指すよりも「社会福祉士」を目指した方が良いでしょう。

しかし、現場経験から取得できる「介護福祉士」とは異なり、「社会福祉士」は福祉系の大学などで必要な単位を取得することが条件に入ります。

現場経験を積んだ人こそスキルアップすれば良いのですが、「初任者研修を修了したまま」というケースも見受けられます。

現場仕事を体験したことで、介護の仕事を理解したつもりになり、「管理業務」に移行しようとするのですが、同じメンバーになった介護士たちにすれば、1つでも多く「トイレ誘導」や「オムツ交換」などの仕事をこなして欲しいのです。

特に、体格の良い男性利用者の介助は、女性介護士には大変です。

しかし、現場で活躍する介護士なのですから、知識が増えたとしても「管理者」になったわけではありません。

「アレして!」「コレして!」

先輩が動かないで、中堅介護士や新米介護士たちが慌ただしく動き回っている現場は、オススメの介護施設とは呼べないでしょう。

ポイントとなる業務をさり気なくフォローする心配りがなければ、先輩と後輩の格差が広がります。

視野が狭い介護士というのは、現場が見えていない人ではなく、現場で楽を選ぶ人を指します。

施設のレベルを上げられない原因


質の高い介護を提供したくても、簡単にはできない事情があります。

多くの介護施設は、シフト勤務を採用し、その日毎にメンバーが入れ替わります。

よく動くメンバーもいれば、腰の重いメンバーもいるわけで、その日のメンバーよって提供できる質や量が大きく変動します。

だからこそ、施設ではボトムアップの研修を行います。

例えば、トイレ誘導などを安全に行えるようにするのも、ボトムアップの1つでしょう。

しかし、入職して半年が過ぎても、オムツ交換はもとより、トイレ誘導も限られた利用者にしかできないという介護士もいます。

そんな介護士の仕事はお茶配りや補充などで、中にはそれさえもキチンと済ませないでおしゃべりしている人もいるくらいです。

施設にすれば、人材不足を懸念して強く指導できない事情もあるのでしょう。

しかし、同じ給料で働く介護士にとっては、納得できない状況です。

中にはできる介護士が施設に見切りをつけることもあるでしょう。

結局は、できない介護士ばかりが残り、質を上げられない負のスパイラルに陥るのです。