利用者が本当に求めていること
今日、新人介護士がレクリエーションの司会をしました。
周りで見ていると、「アッ!」とか「大丈夫かなぁ?」と声や手が出てしまいそうな進行です。
ところが、利用者はみんな微笑んいて、周囲に立つ心配顔の我々にヒソヒソと囁きます。
「昔を思い出したでしょう?」
「そうですね!」
「どうにか説明も終わったみたい!」
「分かりましたか?」
「いいのよ。なんだか楽しいし…」
YouTubeを視聴して感じる現象
今、40代50代を迎える我々の多くは、第二次ベビーブームと呼ばれた頃に生まれました。
小学校時代もクラスメートは40人を越えということも珍しくなかったでしょう。
それだけに、集団的な考え方が求められ、今の若者たちのような「個性」という意識を持たずに成長したのかもしれません。
つまり、何かを始める時に、「プロとは何か?」のようなテーマを掲げて、ストイックに技術や知識を蓄積していることに誇りすら感じていました。
一方でSNS時代を生きる若者たちは、器用に何でもこなしますし、多くの価値観を当たり前のように認め合えるようです。
象徴的なことは、「プロ級のテクニックをどう身につけるのか?」そんなところを出発点にしたがる我々とは異なり、若者たちは「これ楽しいよ!」と共感から連鎖や拡散が生まれ、「流行」を作ります。
我々の意識として、人に認められるためには「どこか秀でたもの」がないと始まらないと思い込んでいて、それはコンテンツ作りでも「プロっぽさ」が見え隠れします。
作った本人としては、出来栄えに自信をみなぎらせるのですが、結果的に「再生回数」に繋げることはできません。
一方で、若者たちが作ったコンテンツは、とても日常的で、どこか特別なところがないようにも見えます。
我々世代にすれば、「なぜ?」と感じるかも知れませんが、しっかりと再生回数に繋がり、しかも評価されています。
ちょっと考えてみてください。
かつて、数百万円はしたであろう高画質の映像も、数万円クラスのカメラで十分な時代です。
始めることが大きな「壁」になっていたことでさえ、少し投資すれば誰でも簡単に始められます。
つまり、始めることを大袈裟に捉えるべきではなく、先ずは始めてみて手応えがあるかを確かめるくらいで十分なのです。
「YouTube を始めるのだから、あれもこれも勉強しなければ…」
そのために、高価な機材を購入し、学校にも通ってと我々世代のセオリーを貫こうとしてしまいます。
少し言い方は不適切ですが、同時にいろんなことを試しながら、その中で反響の高いものをさらに掘り下げて行くくらいで十分なのです。
カメラだって最初はスマホでも十分でしょう。
少し投資するにしても、数万円も出せばかなりキレイな映像を撮ることができるのですから、意識改革が必要なのだと実感します。
どうやら、有名人だからとか、映像がキレイだからとか、内容が上質だからとかが好評価につながるとは限りません。
「それ分かる!」みたいなことでも、相手とのタイミングが合えばそれで十分なのです。
介護職の意識も変わるべき!
例えば、オムツ交換を何分でできれば合格点でしょうか。
ある人は3分かも知れませんし、5分と答える人もいるでしょう。
そんな時に20分掛かったら、遅すぎるでしょうか。
我々世代の意識として、人並みであることに敏感です。
あの人は何分だから、自分も同じ時間で。
特に新人介護士なら、少しでも早くできるように焦りを感じるかも知れません。
ちょっと待ってください。
たとえ20分掛かったとしても、今まで出来なかったオムツ交換ができるようになったのです。
つまり、その「できるようになった」がとても重要なポイントです。
確かに手早い人は、現場では使えないと笑うかも知れません。
しかしそれは、介護職として施設のスケジュールに従う時の話です。
それに、20分でできたなら、3ヶ月後、半年後と継続していれば半分の10分でできるようになるでしょう。
その時、最初は20分も掛かっていたと過去を思い返して笑うでしょうか。
つまり、一度でもできるようになれば、もうそれは早いか遅いかの話であって、それほど重要ではないのが「今時の考え方」です。
プロ並みの語りで、利用者が気軽にツッコミを入れられない司会者と、どこかアットホームで笑いがあるレクリエーションとでは、どちらが楽しいでしょうか。
答えは、どちらも「アリ」なのです。
意味が伝わらないほど不出来なら問題ですが、少しくらい辿々しくても、そこに共感や面白みが隠れていれば、人を楽しませることはできます。
つまり、堅物で融通のきかない介護職ほど、利用者から面倒な相手はいません。
そんな介護職が、テクニックまで未熟なら救いようもないでしょう。
新人介護士の司会で始まったレクリエーションも、周りのスタッフがフォローすることで、利用者の笑い声が絶えない時間となりました。
何より新人介護士を見つめる利用者たちの温かな視線が印象的です。
もしかすると、名司会者に代わっても、これほど盛り上げられないかも知れません。
アマチュアとプロの違い
それでもアマチュアとプロには明確な違いがあります。
一般的に思うのは、プロの方がアマチュアよりも上手だという認識でしょう。
しかしそれはどうやら間違いかも知れません。
思うに、プロは失敗で終わりません。
ただそれだけが、両者の違いです。
つまり、アマチュアでもプロ以上に上手にできることがあります。
プロ級と呼ぶことができるでしょう。
しかしながら、上手くいかないこともあって、そんな時は途中でやめたりしてもいいのです。
ところがプロは、与えられた時間や任務を終えるまで、何があっても遂行します。
やり通せることが「プロ」なのです。
そう考えた時に、手持ちのネタをたくさん用意するのもプロの仕事です。
そして、いろんな相手に合わせて見せ方を変えられるのもプロならではの仕事でしょう。
我々世代は、最初からプロを意識しているのかも知れません。
しかしそんなに難しく考える必要はなく、先ずはアマチュア(未経験者)らしいアプローチで十分なのです。
だからといって失敗していいということではなく、現時点での精一杯で十分という意味です。
上手く見せようとか、できるふりをして、結局使えないくらいなら、懸命だけどそんなに上手ではないという人柄の方が、多くの人から信頼され、評価されるように思います。
相手が驚くほどの資格やスキルを目指すのは、もしかすると古い考え方かも知れません。
できることを見つけながら、その先に自分なりの目指す場所があるという流れでもいいのです。