「タイミング」と「状況判断」に衰えを感じる時に考えること

 介護士になって分かる親の介護のこと

こみち自身も、将来的に親の介護が待っています。

介護士を選ぶきっかけの一つだったとも思います。

さて、今のところは親夫婦も二人だけで暮らせていますし、共に自動車の運転をしたり、地域の集まりなどに参加したりと楽しい老後を過ごしているという印象です。

介護士としての経験で話せば、「自力でトイレに行けない」が大きなポイントだと感じています。

日常生活の中でも何度か繰り返す行為だけに、トイレに行けなくなったら「介護支援」が必要でしょう。

単純に「トイレ」なのですが、そこにはいくつかのカテゴリが含まれています。

例えば、膝関節の違和感から、健康食品などに関心を持つことがあります。

立つことが億劫になると足の筋力が衰え、またそれに合わせて食事量も減らせればいいのですが、老後は自由な時間が増えることもあり、太りやすい環境になりがちです。

住宅環境の面では、一階だけで生活するようになり、ほとんど二階や三階には足を運ばないというケースも増えがちです。

それにより、一階は生活に直結したものが集まり、時に以前よりももので溢れた印象になります。

時々訪ねると、家の中がごちゃごちゃとしている印象なのは、以前よりも行動範囲が異なっているからでしょう。

一階に寝室を作り、またトイレまでの距離を減らすためにポータブルトイレを設置することも検討しなければいけません。

特に手すりやつかまり移動ができるような環境があると、トイレまでの移動が楽になります。

その頃には、生活スタイルの見直しが必要です。

加えて考えるのは「認知機能」の低下

認知機能というと、つい「物覚え」と考えがちです。

例えるなら、おにぎりを作りたい時に、ご飯を丸めて、中に具を入れて、海苔で巻くという行程を、一つずつ行うようになるほど認知機能の低下傾向が心配されます。

具体的には、「ご飯を丸めるから、何か器を使おうか」と思い立ち、食器棚の前で手頃な器を品定めする。

少し大きいかもと思いながら、お釜からシャモジでご飯を盛り、そこで初めて「具」を考え始めます。

つまり、行動が毎回、ぶつぶつと切れていて、一つしては考えて、またしては立ち止まりと、以前よりも効率が悪く、全体としても目的通りにことが運びません。

実はこのようなケースは生活の至るところに起きて、途中でも一度中断して別のことに取り掛かった方が全体として上手くいくような場合も、切り替えできずに後手後手になります。

「どうして、雨が降って来たのに洗濯物を干したままなの?」

「まだ、お茶を飲んでいたし…」

高齢になると、「雨が降ると濡れる」と「お茶の飲んでから」の順番が分からなくなり、ここには1割2割の運動低下でも、全体としては全てが無駄になるということが起こり始めます。

特に「火を消す」とか、「戸締り」「金銭の計算」「買い物」「ゴミ出し」などは、手順を間違えると大きな事故やトラブルに発展するので、特に慎重になります。

そこまで行かないにしても、冷蔵庫に賞味期限が過ぎたものや、到底食べ切れないほどの量で同じ食品があるなどは、「認知機能低下」の始まりを疑いが考えられます。

「介護認定調査」を受けること

これまでの生活に不安を感じたら、お住まいの地域にある市町村役所の福祉課を訪ねて相談しましょう。

要介護又は要支援の申請を行うと、後日自宅に認定調査員が訪ねて来ます。

「認定調査」は、本人や住宅の状況などを確認する聞き取りなので、どんな風に大変なのかを相談することになります。

その程度に応じ、要支援1、2、又は要介護1から5までに区部され、その段階に応じた範囲内で介護サービスを受けることができます。

ただ、完全に無料ということではなく、1割から3割負担が基本で、限度額まで適用されるというものです。

もっとも軽微な要支援1と判断された場合、月額の限度額は約5万円なので、フルフルに使用すると1割負担の場合なら5000円の利用代金が必要となります。

要支援1の段階では、ほとんどのことは自分でもできるはずで、強いて言えばゴミ出しをすることや買い物をするなどを手助けしてもらうような利用になるのでしょうか。

また、介護用のベッドや杖などをレンタルすることもできるはずで、何かサービスを受けるという範囲にはこれらを借りることも含まれます。

特に高さが変えられる介護用ベッドは介護する人の負担を軽減できるので、起きたり寝たりが大変な場合には検討しましょう。

その段階から、自宅での生活が困難になる「要介護3」あたりになると、施設入所を検討することになります。

施設で働く介護士が担当するのは、このトイレを一人で済ませられなくなった人たちです。