介護士のために「高齢者が描く理想の暮らし」を考える

 介護士にとって「高齢者」とは?

もしも20代の時に介護士として働いていたら、「高齢者」は自分の未来像に思えたでしょうか。

こみちの場合、社会人としてサラリーマンをし、フリーランスやら派遣スタッフなどなど、いろんなことがあっての介護士でした。

本音を言えば、仕事を始めるまで自分には向いていないと思って避けていましたし、介護施設に勤務するイメージも浮かびません。

今でもその気持ちは変わらなくて、「職業は介護士です!」と何かのタイミングで答える時に、内心ではちょっと不思議な感覚すらあります。

でも、介護士として働けた要因があるとすれば、それは「利用者」、つまり高齢者が受け入れてくれたからだと思います。

初めての出勤日はもう随分と昔ですが、今も変わらず暮らしている利用者がいる反面、様々な理由で「居なくなった方」もいます。

中高年になったとは言え、利用者の多くは70代以降、90代の方もいるので親世代よりも年上です。

しかし不思議といつかは自分もその年齢になり、誰かの世話にならなければ生活できなくなることでしょう。

「自分は自分」や「自己責任」という考え方も、いつかは通用しなくなり、不本意かもしれませんが、「お願いします」「ありがとう」と言うようになるのです。

実際、職場にいると「ありがとう」をたくさん言われます。

でも、こみちも「ありがとう」と答えます。

それはいつか自分も同じような状況になった時に、きっと「ありがとう」と言っているわけで、それをしてもらうための「貯金」を今はさせてもらっているという感覚だからです。

趣味を持ちたい!

介護施設にいる利用者の中には、さまざまな趣味を楽しんでいる方々がいます。

今はまだタブレットを愛用している方はいませんが、そのうちスマホなどを意思疎通や連絡にも活用し、個人としては動画などを楽しむようになっていく世代が利用者になるでしょう。

どうしても多くの利用者に合わせたレクリエーションになるので、カラオケでも歌を歌うことが中心です。

これが、楽器演奏にまで発展させられたら、また生きがいになったり学習意欲を引き出せたりするのではと思います。

料理も楽しみたい!

確かに世代的には今の利用者の中には「料理」をしてこなかった人もいるでしょう。

こみち自身は学生時代にひとり暮らしをしていたので、簡単な料理なら自分で食べられるくらいは作ります。

みんなと一緒に和気藹々と料理ができたら、それはそれで楽しいのではないでしょうか。

サークル活動もあったら面白い!

映画や麻雀、洋裁、生花など、高齢者になっても楽しめるきっかけはいくつもあります。

もちろん、それ自体を楽しむのも良いですが、「サークル活動」という形で、何か同じ趣味や興味を持つ人同士が集まれる社会活動があると生活にハリが出そうです。

それらから見えて来る「介護士の役割」とは?

特に中高年にとっては、介護される生活もそう遠くはない未来の話です。

そして、高齢者になった時にどんな生活を送りたいかを考えることで、肩肘を張ることなく介護士としても関われるように思います。

イメージとしては「高齢者だから優しくする」ではなく、「できないことを支える」だけでいいのでしょう。

参加に戸惑う人がいたら、その雰囲気作りもまた介護士の役割だと思っていて、「皆さん、よろしくお願いします」と馴染めない利用者と一緒に輪に入って行くことで、彼らの生活に少しでも楽しいことが増えればいいと思います。