介護職だから簡単に就職できるとは限らない!?

 中高年にとって介護職は聖域!?

国内における高齢者の増加は、当分続くことでしょう。

つまりは、それだけ日常生活におけるサポートを求める人たちも増えると考えられます。

一方で、そんな状況をビジネスチャンスを考えて、さまざまな異業種から介護業界へと参入して来るケースも増えました。

介護保険制度が導入されたことで、ある意味で「介護」もサービスという考え方になりました。

もう少し別の言葉を使うとすれば、「〇〇のサービスをします」というのでは差別化が難しく、「〇〇に特色あるサービスをしています」という具合に、何かをすることではなく、どんな風にするのかが問われるようになりました。

介護現場で頻繁に発生する「トイレ誘導」についても、ただ用を済ませるということではなく、例えば皮膚トラブルに注意しているとか、衛生管理を徹底しているというように、具体的にどのような手順で行っているのかまで踏み込んだ提示が求められるようになります。

その意味では、スタッフの技術力アップにどんな工夫や勉強の機会を設けているのかまで、問われるでしょう。

そうでなければ、介護業界で30年の実績と謳っても、新しく建設された今どきの介護施設に客を奪われてしまいます。

そして、しっかりと見定める客を集めた施設は、こだわりや工夫がさらに人気を集めて、業界紙などでもその実績を紹介されるというプラスの循環に乗れます。

一方で、客が減った介護施設は、少し扱いに手間が掛かる客を売上のために招き入れます。

当然ですが、スタッフはそんな入所者たちの応対に疲弊し、場合によっては離職したり、モチベーションを失ってしまうことも少なくありません。

その意味でも、一度マイナス傾向になると、そこからプラスに転換させるのは容易ではなく、しっかりとした経営手腕が問われます。

当然ですが、入所者が収容定員に近いほど、稼げている施設と言えます。

空きが多い施設とは、何らかの理由で利用者からの評判が悪くなるので、「入りやすい施設」ほど、その理由を知っておくべきでしょう。

新規まもないとか、建物を増設したなど、その収容人数が増えたのなら良いのですが、別の施設へと移転したケースが増えるとなれば、その施設には改善しなければいけない問題点があるからです。

スタッフにしても、評判の良い施設なら、それに見合った研修や勉強が開催されているはずです。

一方で、評判が芳しくなく、入所者が減少傾向にある施設は、いくつかの大きなミスや誤解をしているでしょう。

中高年の介護職を積極的に採用する施設の思惑

なぜ、介護施設は、中高年を積極的に採用するのでしょうか。

実際には、介護施設でも常勤スタッフになるには「大卒資格」を持っていることを掲げることもあります。

つまり、年齢や性別、職歴不問という求人が多かった介護ですが、就活フェアなどの相談会では「〇〇大学ですか?」という学歴に関する質問があって、そこから「始まる話題」も少なくありません。

と言うのも、介護施設も介護スタッフばかりではなく、マネジメントや法務など、一般企業同様に必要とされる人材は同じです。

ただ、介護の現場で働いてくれるスタッフとして「介護職」という枠を設けているとも言えます。

中高年は介護職をどう活かすべきか?

本来なら、介護業界に限らず、中高年に求めるのはこれまでの経験を活かした「即戦力」です。

ではなぜ、年齢不問など採用枠を広げているのでしょうか。

それは、「介護の仕事」特有の手数の多さにあります。

一人のスタッフが同時に担当できる人数には限りがあって、説明すれば納得してくれる人もいれば、10秒も待っていられない人もいて、とにかく人数がいないと現場が回らないことがあるからです。

少し踏み込めば、メリットの多い利用者を集めればそれだけ利益が見込めるのは当然ですが、手間がかかる利用者を利益のために集めれば、スタッフも同時に集めるしかありません。

もちろん、だから中高年なのではないですが、異業種に比べて中高年の採用率が高い背景には、介護業界特有の事情もあります。

では中高年が介護職になるべきではないかというと、そんなことはありません。

しかし、ポイントとして、学歴や職歴が全く問われないという真意は、必要とされる組織内のポジションには行けないとも言えます。

それは、ベースアップにも現れるでしょうし、現場であくせくと働くしかないと感じるのも、その領域の人材が不足しやすいことが考えられるからです。

もちろん、それが好きとか合っているという人は、そのままでも構いません。

しかし、「介護職って給料が安い!」と感じる原因は、そのポジションのままだからです。

そこで、これから福祉系の大学で学ぶことは不可能ではありませんが、あまりに突飛な発想なので、現実的な意味で「介護福祉士」を取得しましょう。

有望な資格としては、介護職を続ける人や介護業界で展開したいなら、取得して邪魔にはなりません。

それに、介護現場から少し距離を置いて、次なる目標を見つけることができるのも、介護福祉士の資格が壁を越えさせてくれるでしょう。