中高年の仕事探し「老いるとは何か?」

 介護職をして分かる「老いる」ということ

「老いる」と聞いて、「認知症」を思い浮かべる人がいるかもしれません。

しかし、単純な物忘れもそうですが、記憶力の低下は思考能力にも直結しています。

例えば、目の前にベルトコンベアーがあって、荷物が右側から左側へと流れていたとしましょう。

その時、大きな荷物が来たら赤いステッカーを貼るように指示された場合、ポイントは「どんな荷物」ということと「何をしなければいけないか?」という2つです。

高齢者の支援をして思うのは、例えば目の前のベルトコンベアーそのものが理解できないこともあります。

荷物が流れて来ても、なぜ流れて来たのか理解出来ず、また、関心さえ示しません。

そんな人に、大きな荷物にステッカーを貼るという作業は難しいことが分かるでしょう。

逆を言えば、大きな荷物なのに、小さな荷物を見つけてステッカーを貼ってしまったようなミスは、高齢者に限らず誰にでも起こり得ます。

赤色を他の色と間違える軽微なミスなら尚更です。

視力、聴力、集中力が低下すると

高齢者の多くは、視力や聴力が低下しています。

年齢と低下度合いはリンクしませんが、人によって片方だったり、両方ともが低下します。

当然ですが、先に紹介したベルトコンベアーのような話でも、大きな荷物が見えづらくなったり、色の識別に困惑して「赤色」と知りながら別の色を手に取ってしまうミスも起こります。

一般的に中高年と高齢者を比較して、単純作業になる程、両者の違いはほとんどありません。

一方で、条件が複雑になり、作業工程が増えることで、顕著に差が生じます。

つまり、突発的なことが起きたり、環境が変化したりすると、高齢者ほど戸惑いますし、老いる人ほど順応に時間が必要です。

高齢者介護で注意すること

高齢者の得意な部分を活かしながら、苦手なことや慣れないことを少しずつ織り交ぜるようにしましょう。

「上手に出来ましたね!」と褒める場合も、上から目線にならないようにします。

声のトーンやスピードによって、印象が変わるからです。

しっかりと目を見て、表情豊かに声掛けすることが大切です。

言葉そのもので褒めるのではなく、声のトーンやスピードで称賛を伝えましょう。

「慌てないで!」という言葉は、こみち自身も避けています。

「のんびり行きましょう!」という言葉の方が、高齢者からのウケが良いからです。

高齢者の心境として、「遅いと思われたくない」という気持ちがあります。

老いていることを知られたくなくて、聞こえていないのに聞こえたふりをしたり、理解していないのに分かったふりをするのは、高齢者によく見られるアルアルです。

介護職としては、スケジュール的にスピードアップしたい時でも、高齢者を急かして良いことはありません。

転倒したり、薬を飲みこぼしたり、いつもは出来ていることもできなかったりするからです。

急いでいる時ほど、何度も深呼吸をして、声だけはゆっくりと落ち着いたスピードを保ちましょう。

我々も必ず「老いる」!

いろんな意味で無理できなくなるのが、歳を重ねるということです。

若い頃のように、徹夜で一夜漬けしようとしても、翌朝にはほとんどのことを忘れてしまうでしょう。

記憶するにも時間が掛かりますし、難解な説明を理解するのも大変です。

だからこそ、若い頃に多くの経験を重ねた方がいいですし、逆に歳をとってから「学ぶ」のは十分な準備と期間が不可欠です。

また、「今が一番若い!」と考えれば、「老いる」ということを心配するよりも、今まで以上に計画を立てて目標を達成する習慣を身につけましょう。

1日ではほとんど変化がありませんが、1週間、1ヶ月と続いて行けば、それが目に見えて結果となります。

1日を大切にしながら、決して諦めないことが何よりです。